凍結乾燥機の工程は大きく分けて3つ

凍結乾燥機には、大きく分けて3つの工程があります。
製品を凍結させる凍結工程、乾燥をする乾燥工程、それと乾燥終了後にたまった氷を溶かす融氷工程です。
それでは、各工程について少し詳しく見てみましょう。

凍結工程

凍結乾燥 凍結工程

乾燥物をよく凍結させます。この工程が凍結工程です。

凍結乾燥は昇華(氷から直接水蒸気になる状態変化)という物理的な現象を利用して乾燥を行う方法です。
乾燥物は必ず凍っている状態(固体)で乾燥を行います。

通常は-40℃程度の設定で凍結を行います。
水であれば0℃で凍るのですが、実際の乾燥物は水以外の物も多く含み、また構造も複雑です。十分低い温度で凍らせる方が安全となります。

凍結の状態がそのまま乾燥後の仕上がりとなる凍結乾燥においては、予備凍結は凍結乾燥の重要な工程の1つだといえます。

乾燥工程

コールドトラップ冷却工程

凍結乾燥 乾燥工程 トラップ冷却

凍結された試料から水分だけを取り去ることが乾燥の目的です。

この除去される水分は氷(固体)から直接水蒸気(気体)となりますが、真空中ではこの気体の容積が非常に大きいので、 気体をもう一度氷の状態にします。これがコールドトラップの役目です。

コールドトラップにはもう一つの役割としては真空ポンプを保護するという一面もあります。 真空ポンプは水蒸気を嫌いますのでコールドトラップで水蒸気をすべて捕集する必要があります。 したがって真空排気を行なう前にあらかじめコールドトラップを冷やし,気体(水蒸気) を捕集するための環境をつくります。

真空中では、乾燥室とコールドトラップの温度差によって圧力の差が生じ、乾燥室内の水分 が蒸気となって、コールドトラップに集まります。

より早く乾燥する為には、より低い温度のコールドトラップ(-50℃より-80℃)で乾 燥室とコールドトラップとの温度差をなるべく大きくすることが望ましいといえます。

コールドトラップの温度は最終的な残留水分量にも影響を及ぼしますのでより良い乾 燥度を求める場合より低いコールドトラップ温度が必要となります。

真空排気工程

凍結乾燥 乾燥工程 真空排気

コールドトラップ冷却後は真空排気工程です。
この工程の目的は、凍結された乾燥物から水分(氷)が昇華しやすい条件を作るのが真空排気の目的です。

真空ポンプを作動させ、乾燥室内を減圧し真空にします、そうすると沸点が下がり、凍結している乾燥 物の水分が昇華し水蒸気となって排気され、コールドトラップへ水分(水蒸気)が移動します。

加熱工程

凍結乾燥 乾燥工程 加熱

加熱といっても高熱を加えるわけではありません、昇華を活発に促すための熱供給を行います。

1kgが昇華して水蒸気となるためには約675kCalの昇華熱が必要です。
氷が昇華中は常に昇華熱により周囲の温度を奪って冷えていってしまいます。

連続的に活発に水分を昇華させるためにはこの熱量を供給し続ける必要があります。
棚を加熱してこの昇華熱を供給しつづけ、乾燥物が解けない程度の熱を常に加熱という形 で供給し続けるのがこの工程目的です。

昇華する氷がなくなると棚加熱の熱は乾燥物をあたためる為の熱として作用し乾燥物温度が上昇し始めます。

最終的に乾燥が終了すると、乾燥物の温度がとまり、棚の温度とほぼ平行状態となります。
内部に蒸発する水分がなくなったことをしめします。
棚の温度と乾燥物の温度がぼぼ一定で変化しなくった所が乾燥終了ポイントとなります。

融氷工程

コールドトラップ部に乾燥物から蒸発した水分が氷としてついています。
次の運転に備えて氷を溶かします。この工程を融氷工程といいます。

当社凍結乾燥機の操作

以上のような工程を経て乾燥が行われますが、当社ではその工程の一部を自動化しています。

  • 自動運転モード:実際の運転は凍結から乾燥までボタン1つで実行を行う。
  • 手動運転モード:凍結の状態を確認後、乾燥工程を運転実行を行う。

以上2つのモードからなり、いずれにしてもワンタッチまたはツータッチで乾燥を行うことが可能です。

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